そもそもよく勘違いされがちですが、日本語検定と日本語能力試験は全くの別物です。
「日本語検定」
日本人のために作られた問題。日本人だからといって簡単に解ける問題ではありません。
「日本語能力試験」
外国人向けに作られた問題。基本的な日本語を話したり、読み書きができるようになるための試験です。
今回は日本語検定についてと2級の問題を簡単に紹介します。
さっと読みたい方
日本語検定について
内容構成
日本語検定は試験範囲が非常に広いです。
「敬語」、「文法」、「語彙」、「言葉の意味」、「表記」、「漢字」の6つの領域に分けられており、最後に読解問題が2問ほどという構成になっています。
そのうちの一つでも基準を満たすことができないと不合格となってしまいます。
受験級の目安
受験級の目安は以下の通りです。
- 1級 社会人上級レベル
- 2級 大学卒業〜社会人中級レベル
- 3級 高校卒業〜社会人基礎レベル
- 4級 中学校卒業レベル
- 5級 小学校卒業レベル
- 6級 小学校4年生レベル
- 7級 小学校2年生レベル
また、それぞれの級によって合格基準と準合格基準が設けられており、準合格基準を満たした場合は「準」認定を得ることができます。
勉強時間
必要勉強時間は一概に言えません。
2級クラスになると、これまでに多くの本を読み文学に触れていれば1〜2週間ほどの勉強時間で合格することも可能ですが、これまで分からない言葉の意味を放置してきた、という方にとっては非常に難しく感じるかもしれません。
後ほど実際の問題を紹介しますので、参考にしてみて下さい。
実際に出てきた2級の問題を紹介
ここからは「敬語」、「文法」、「語彙」、「言葉の意味」、「表記」、「漢字」のそれぞれの領域ごとに実際に出てきた問題を紹介していきます。
勉強用の記事もあるので、こちらもどうぞ。「語彙」、「言葉の意味」、「表記」、「漢字」で出てくる問題をまとめました。




敬語
問題一
-
明らかに不適切と説明できるものを1〜4の中から1つ選んで番号で答えなさい。
【客からの電話を受けて】
下取りについて( )ということですね。担当の者におつなぎします。
1. 問い合わせされたい
2. お尋ねしたい
3. お聞きになりたい
4. お問い合わせになりたい
2
-
【解説】
相手の行動に対して尊敬表現を用いるのが適切であるが、2は「お〜する」という謙譲表現が用いられているため。
問題二
- 適切なものを1〜3の中から1つ選んで番号で答えなさい。
【研究機関の年報の編集後記で】
本誌の充実に向け、忌憚ないご意見・ご( )を賜れれば幸いである。
1
-
【解説】
1.「叱正」
自らの文章の不備を訂正・指摘してもらうことを読み手に請う際に用いられる。
2.「叱声」
しかる声、しかる言葉。
3.「叱責」
他人の失敗などをしかりとがめること。
文法
問題一
- 「の」用法がA・B・Cのどれに当てはまるか、ア〜オについて記号で答えなさい。
【A】それはこっちのセリフだ
【B】元気のない犬
【C】明日到着予定の荷物
ア.身長の高い方が兄です
イ.そこにある車の鍵をとって
ウ.エンジンが故障中の車
エ.家を建てるなら日の当たる場所がいい
オ.彼女の試合を見にいく
ア → B
イ → A
ウ → C
エ → B
オ → A
-
【解説】
【A】は「所有格」と呼ばれ、所属・所在・性質などを表す用法
【B】は「主格」と呼ばれ、「が」に言い換えられる用法
【C】は「同格」と呼ばれ、「〜である〜」に言い換えられる用法
語彙
問題一
- 下線部と最も類似した言葉を番号で答えなさい。
彼女は離婚に至るまで夫によく尽くした。
[1.留別 2.破局 3.別離 4.破鏡]4
-
【解説】
1.「留別」
去る者が残る者に別れを告げること
2.「破局」
今までの状態を維持できなくなって悲劇的な結末を迎えること
3.「別離」
人と別れること
4.「破鏡」
夫婦の別離のこと
問題二
- 下線部と最も対照的な言葉を選んで番号で答えなさい。
戦国大名の中には、朝廷に多額の金額を献上し、官位を( )された者も少なくない。
[1.下賜 2.授与 3.宣下 4.賦与]4
-
【解説】
「献上」は天皇や貴人に品物を差し上げること。
1.「下賜」
身分の高い人が身分の下の人に品物などを与えること
2.「授与」
賞や証書などを与えること
3.「宣下」
宣旨(天皇の言葉を伝える文書)を下すこと
4.「賦与」
分け与えること
言葉の意味
問題一
-
最も適切なものを選んで番号で答えなさい。
男子マラソンで日本は出場した3人が全員入賞して掉尾を( )。
[1.取った 2.占めた 3.遂げた 4.飾った]4
-
【解説】
「掉尾を飾る」は物事を立派に締めくくること。
問題二
-
下線部を最も適切に用いている文章を番号で答えなさい。
1.いくら注意しても同じミスを繰り返す。彼にはほとほとあいきょうが尽きた。
2.親からよくお前はあいきょうが悪いと言われるので、最近は気をつけるようにしています。
3.はるかちゃんはあいきょうがあって、とっても可愛いお孫さんですね。
3
-
【解説】
「愛嬌」は人に好かれる愛らしさ。2.3は「愛想」がふさわしい。
表記
問題一
-
誤っている言葉を探し、正しく直して答えなさい。
「被告人の供述には不信な点が多々あり、傍聴席にいた私には、無実とは到底思えなかった」
「不信」 → 「不審」
-
【解説】
「不審」は、隠されたことがないかと疑いを抱くこと。
「不信」は、信じないこと。
漢字
問題一
-
□に入る適切な言葉を1字で答えなさい。
急にスピーチを求められても、そな場に合わせて当□即妙に挨拶をする彼が羨ましい。
意
-
【解説】
「当意即妙」は状況に合わせて気の利いた対応ができる様子
問題二
-
□に入る適切な言葉を1字で答えなさい。
織田信長は桶狭間で、今川大軍を前に□坤一擲の大勝負に出た。
乾
-
【解説】
「乾坤一擲」は、運命をかけた大勝負に出ること
※日本語検定公式過去問題集2級: 平成30年度版 より一部抜粋
おすすめ教材
日本語検定は範囲が広すぎて何を勉強したらいいかわからないと思うので、まずは教材に一通り目を通しておくことをお勧めします。
「どういった問題の出され方がするのか」
「問題の難易度はどれほどのものなのか」
を把握することはとても重要です。
しかし、日本語検定の教材はびっくりするほど書店に置いてありません。それほどマイナーな資格なのでしょう。
私はアマゾンで教材を揃えたので、それぞれ中身を紹介していきます。
公式テキストで全体の内容を把握
日本語検定の公式テキストになります。
「敬語」、「文法」、「語彙」、「言葉の意味」、「表記」、「漢字」の6つの領域について詳しく説明されています。
敬語や文法はこのテキストの内容を把握していれば、本番の試験でも臨機応変に対応することができるかと思います。
上級は1・2級レベル。
中級は3・4級レベル。
初球はそれ以下のレベルとなります。
練習問題を通して知識を蓄える
日本語検定の公式練習問題になります。
とにかく練習問題がたくさん詰まっていて、解説もしっかり書いてあるため十分知識をつけることができます。
しかし、この教材を完璧にしたからといって合格が保証されるわけではありません。
幅広く日本語検定の全体像を見渡したい方は公式テキストを。
とにかく多くの練習問題に取り掛かりたい方は公式練習問題集を。
もちろん2つ備わっているほうが理想的です。
実際の過去問で試験慣れ
一つの教材に過去問が2年分ずつ載っています。
試験の時間配分や、最後に出題される読解問題も練習しておきたいという方は揃えておきましょう。